従業員を正社員に転換した、研修を受けさせた、賃金を引き上げた。こうした取り組みには、厚生労働省の助成金が用意されています。しかし「自社が対象か分からない」「書類が複雑で手が回らない」という理由で、使えるはずの助成金を申請していない会社は少なくありません。厚生労働省が所管する雇用関係の助成金は、労働局やハローワークに提出する書類の作成・提出を社会保険労務士に依頼できます。ものづくり補助金のような経済産業省系の補助金とは依頼先が異なり、助成金は社労士、補助金は行政書士という切り分けが基本です。この記事では、まず助成金と補助金で依頼先が分かれる理由を整理し、石川県内で雇用関係助成金の申請を依頼できる社労士事務所と、無料で相談できる公的窓口を紹介します。費用の考え方、依頼先の選び方、自社で申請する選択まで含めて、依頼先を2〜3件に絞れる状態を目指します。
この記事でわかること
- 厚労省の雇用関係助成金は社労士、経産省の補助金は行政書士という依頼先の切り分け
- 石川県内で雇用関係助成金の申請を依頼できる社労士事務所と、無料の公的窓口
- 中小企業が使いやすい主な助成金と、それぞれどんな取り組みが対象か
- 社労士に依頼するときの費用の考え方(着手金・成功報酬・顧問契約)
- 依頼先を選ぶときに確認する5項目と、登録の有無を確かめる方法
- 専門家に依頼せず自社で申請する選択と、その相談先
まず読者の主要な疑問と短い答えを一覧にし、詳細は各章で扱います。
| 疑問 | 短い答え |
|---|---|
| 助成金の申請代行は誰に頼める? | 厚労省の雇用関係助成金は社会保険労務士。労働局・ハローワークへの提出書類の作成・提出は社労士の業務 |
| 行政書士やコンサル会社には頼めない? | 雇用関係助成金の書類作成・提出は社労士の業務。行政書士は経産省系の補助金が担当。コンサル会社は助言まで |
| 補助金と助成金は何が違う? | 所管が違う。経産省系が補助金(ものづくり・持続化等)、厚労省系が助成金(キャリアアップ・人材開発等)。依頼先も分かれる |
| 費用はいくら? | 着手金なし+成功報酬(受給額の15〜30%程度)が多い。顧問契約に含める事務所もある。公式に料金を公開する事務所は少数 |
| まず何が使えるか知りたいだけなら? | 石川労働局・ハローワークの助成金窓口、石川県社労士会の無料相談、よろず支援拠点へ |
| 頼んでよい相手かを確かめるには? | 石川県社会保険労務士会の会員名簿で事務所名・氏名を照合する |
自分の疑問がどこにあるかを確認したら、目次から該当する章へ進んでください。
石川県で雇用関係助成金の申請を依頼できる社労士事務所
先に依頼先の整理だけ示します。厚生労働省が所管する雇用関係助成金(キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金・業務改善助成金など)は、労働局やハローワークに提出する書類の作成・提出を社会保険労務士に依頼できます。経済産業省・中小企業庁が所管する補助金(ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金など)は行政書士の担当で、依頼先が分かれます。詳しくはi-1で説明します。この章では、石川県内で助成金業務を公式サイトに掲げ、石川県社会保険労務士会の会員名簿で所属を確認できた事務所を紹介します。掲載順はランキングではなく、事務所名をクリックすると各公式サイトへ移動できます。
| 事務所名 | 所在地 | 助成金に関する特徴 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|
| 宮本人事労務パートナーズ | 金沢市八日市 | 雇用関係助成金の申請支援を主軸。着手金なし・顧問契約不要・相談無料。従業員10名以下の小規模事業者に対応 | 成功報酬(公式サイト参照) |
| 大畑社会保険労務士事務所 | 金沢市此花町(金沢駅前) | 50種類以上の雇用関連助成金から会社に合ったものを提案。助成金顧問サービスあり | 要問い合わせ(初回相談無料) |
| 社会保険労務士事務所リジョイス | 金沢市東力町 | キャリアアップ助成金・働き方改革推進支援助成金等の申請支援。就業規則と併せた制度設計。石川・富山対応 | 要問い合わせ |
| 社会保険労務士法人菊池事務所 | 金沢市藤江北 | 助成金診断で会社の状況に合った制度を提案。労働保険事務組合を併設 | 要問い合わせ |
| 特定社会保険労務士中川晋作事務所 | 金沢市旭町 | 起業支援・給与計算・就業規則と併せた助成金の活用提案 | 要問い合わせ |
| 社会保険労務士小山内合同事務所 | 金沢市西念 | 社労士・行政書士の合同事務所。助成金と許認可・補助金を同じ窓口で相談可 | 要問い合わせ |
宮本人事労務パートナーズ

ポイント
石川県内で「助成金申請に強い社労士」を公式サイトの前面に掲げている事務所が、金沢市八日市の宮本人事労務パートナーズです。キャリアアップ助成金、業務改善助成金、両立支援等助成金、働き方改革推進支援助成金など雇用関係助成金の申請支援を主軸とし、着手金なし・顧問契約不要・相談無料で、従業員10名以下の小規模事業者や個人事業主の助成金活用を支援すると公式サイトで説明しています。顧問社労士がいる会社でも、助成金だけを切り出して依頼できる点は、既存の顧問が助成金を扱っていない場合の選択肢になります。公式サイトでは、厚労省の助成金の申請書作成や行政機関への提出が社労士の独占業務であることにも触れており、依頼先の適法性を重視する読者にとって確認しやすい事務所です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市八日市4-144-1 |
| 代表 | 宮本 欣弥(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載) |
| 助成金業務 | 雇用関係助成金の申請支援(キャリアアップ・業務改善・両立支援等・働き方改革推進支援等) |
| その他の業務 | 人事労務相談 |
| 料金 | 着手金なし・成功報酬(公式サイト参照) |
| 公式HP | 公式サイトを見る |
大畑社会保険労務士事務所

ポイント
使える助成金が何かを、継続的に教えてもらえる関係を作りたい会社に向くのが、金沢駅前の大畑社会保険労務士事務所です。公式サイトでは、雇用関連助成金について50種類以上の中から会社に合った助成金の紹介や相談、必要書類のサポートを行うと説明し、採用・教育訓練・賃金引上げ・業務改善・キャリアアップ・両立支援の観点で制度を整理しています。助成金顧問サービスでは、助成金診断により新規採用・社員定着・設備投資・雇用維持などに合った助成金を提案する仕組みで、このサービスは申請の代行ではなく事業者自身が申請することを前提にした支援である旨を明記しています。一方で事務所全体としては助成金申請一括代行にも対応すると案内しており、どちらの形で依頼するかを最初に確認すると進め方が明確になります。社会保険・労働保険の手続き代行、給与計算、年金請求まで対応範囲は広く、労務全般を任せながら助成金も押さえたい会社に合う事務所です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市此花町3-2 ライブ1ビル1階 |
| 代表 | 大畑 亮(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載) |
| 助成金業務 | 雇用関連助成金の紹介・相談・必要書類のサポート、助成金顧問サービス、申請代行 |
| その他の業務 | 社会保険・労働保険手続き、給与計算代行、年金裁定請求、労務コンサルティング |
| 料金 | 要問い合わせ(初回相談無料、契約前に見積もり) |
| 公式HP | 公式サイトを見る |
社会保険労務士事務所リジョイス

ポイント
助成金の多くは、就業規則に制度を定めていることが支給要件になります。社会保険労務士事務所リジョイスは、就業規則の作成と助成金申請を一体で支援する姿勢を公式サイトで掲げており、制度導入の検討から申請書類の整備まで一貫して対応すると説明しています。キャリアアップ助成金や働き方改革推進支援助成金など各種制度の活用を通じて県内外の企業の助成金申請を支援してきたと案内しており、就業規則が未整備のまま助成金を検討している会社にとっては、要件整備から相談できる点が進めやすさにつながります。金沢市東力町に事務所を置き、石川県と富山県で事業を展開する事業者に対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市東力町イ18 パークレジデンス101 |
| 代表 | 服部 英明(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載) |
| 助成金業務 | キャリアアップ助成金・働き方改革推進支援助成金等の申請支援、制度導入の検討から書類整備まで |
| その他の業務 | 就業規則作成・見直し、労務管理相談 |
| 料金 | 要問い合わせ |
| 公式HP | 公式サイトを見る |
社会保険労務士法人菊池事務所

ポイント
どの助成金が自社に当てはまるかを、まず診断してもらうところから始めたい会社に向くのが、金沢市藤江北の社会保険労務士法人菊池事務所です。公式サイトでは、補助金や助成金は種類が数十に及ぶため、企業の状況に合った制度を見極める補助金・助成金診断を行い、社労士が提案すると説明しています。労働保険事務組合を併設しており、労働保険の加入・年度更新といった手続きと助成金の相談を同じ窓口で進められます。社労士法人として複数の社労士が在籍しているため、担当者の不在時にも対応が途切れにくい体制を期待できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市藤江北2丁目363 |
| 代表 | 菊池 佳寿代・菊池 寛治(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載) |
| 助成金業務 | 補助金・助成金診断、助成金手続き |
| その他の業務 | 労働保険事務組合、社会保険・労働保険手続き、労務相談 |
| 料金 | 要問い合わせ |
| 公式HP | 公式サイトを見る |
特定社会保険労務士中川晋作事務所

ポイント
賃金体系の見直しと助成金を一緒に考えたい会社に向くのが、金沢市旭町の特定社会保険労務士中川晋作事務所です。起業の支援、給与計算、就業規則の作成、助成金の活用を基本業務とし、賃金に関するコンサルティングに強みを持つと紹介されています。業務改善助成金のように賃金引上げを要件とする制度では、賃金体系の設計と申請を同じ窓口で進められることが要件の整合を取りやすくします。特定社会保険労務士として、労使トラブルのあっせん代理にも対応できる資格を持っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市旭町2丁目7-16 |
| 代表 | 中川 晋作(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載・特定社会保険労務士) |
| 助成金業務 | 助成金の活用提案 |
| その他の業務 | 起業支援、給与計算、就業規則作成、賃金コンサルティング |
| 料金 | 要問い合わせ |
| 公式HP | 要確認 |
社会保険労務士小山内合同事務所

ポイント
「助成金と補助金のどちらを使えばよいか分からない」という段階の会社にとって、両方を扱える事務所は相談の入口として使いやすい存在です。金沢市西念の社会保険労務士小山内合同事務所は、社労士と行政書士の合同事務所で、厚労省系の雇用関係助成金は社労士として、経産省系の補助金や許認可は行政書士として、同じ窓口で対応できる体制です。石川県社会保険労務士会の会員名簿に掲載があり、取扱業務に補助金・助成金を掲げています。制度の切り分けから相談したい会社、開業や許認可と助成金を同時に進めたい会社に向く事務所です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市西念2丁目28-14 |
| 代表 | 小山内 俊平(石川県社会保険労務士会 会員名簿に掲載) |
| 助成金業務 | 雇用関係助成金(社労士)、補助金・許認可(行政書士) |
| その他の業務 | 社会保険・労働保険手続き、許認可申請 |
| 料金 | 要問い合わせ |
| 公式HP | 要確認 |
ここまでの事務所は、いずれも石川県社会保険労務士会の会員名簿で所属を確認できていますが、依頼前にはご自身でも名簿を確認してください。方法はi-3で説明します。
助成金と補助金は所管が違い、依頼先が分かれる
所管官庁で切り分ける
「補助金」と「助成金」は日常では区別なく使われますが、依頼先を決めるうえでは所管官庁で分けて考える必要があります。厚生労働省が所管する雇用関係の助成金は、労働局やハローワークに提出する書類であり、社会保険労務士法により、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成と提出手続の代行は社労士の業務と定められています。一方、経済産業省・中小企業庁が所管する補助金(ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金など)の申請書類は、2026年1月施行の改正行政書士法により、報酬を得て作成・提出できるのは行政書士に限られることが明確になりました。この領域は社労士では扱えません。
| 区分 | 所管 | 主な制度 | 有償で書類作成・提出できる士業 |
|---|---|---|---|
| 雇用関係の助成金 | 厚生労働省(労働局・ハローワーク) | キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、業務改善助成金、両立支援等助成金、働き方改革推進支援助成金 | 社会保険労務士 |
| 補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金 | 行政書士 |
| 自治体の補助金・助成金 | 都道府県・市町村 | 石川県・金沢市等の独自制度 | 制度の性質により異なる。各士業に確認 |
補助金を検討している場合の依頼先は、別の記事で整理しています。石川県の補助金申請代行・相談おすすめ6選をあわせてご覧ください。
誰が何をできるか
| 工程 | 社労士 | 行政書士 | コンサル会社・診断士 | 事業者本人 |
|---|---|---|---|---|
| 使える助成金の選定・制度の説明 | できる | できる | できる | ― |
| 就業規則・賃金規程の整備(要件充足) | できる | できない(就業規則は社労士の業務) | 助言まで | 自社で整備 |
| 申請書・計画届の作成(有償) | できる | できない | できない | 自分で作成 |
| 労働局・ハローワークへの提出代行(有償) | できる | できない | できない | 自分で提出 |
| 支給申請・実績報告の作成(有償) | できる | できない | できない | 自分で作成 |
表から読み取れるとおり、雇用関係助成金は要件に就業規則や賃金規程の整備が絡むことが多く、書類の作成だけでなく制度の設計段階から社労士に関わってもらう形が自然です。行政書士やコンサル会社が「助成金もできます」と案内している場合、厚労省系の助成金の書類作成・提出を有償で行うことは社労士法上認められていないため、誰が作成・提出するのかを確認してください。石川県社会保険労務士会も、士業の越権行為に関する注意喚起を公式サイトで行っています。
出典:石川県社会保険労務士会『士業の越権行為にご注意』(2026年8月19日確認)
- 社会保険労務士
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行、帳簿書類の作成、労務管理の相談指導を業とする国家資格者。雇用関係助成金の申請は社労士の業務。
- 特定社会保険労務士
- 社労士のうち、紛争解決手続代理業務試験に合格し付記を受けた者。労使紛争のあっせん代理ができる。
- 労働保険事務組合
- 中小企業の労働保険事務を代行する厚労大臣認可の団体。社労士事務所が併設していることがある。
中小企業が使いやすい雇用関係助成金と、対象になる取り組み
雇用関係助成金は数十種類ありますが、石川県内の中小企業が使う場面が多いのは、正社員転換・研修・賃上げ・両立支援・生産性向上に関わる制度です。制度は年度ごとに要件・支給額が変わるため、この記事では制度名と対象になる取り組みの整理にとどめ、支給額や助成率の数値は記載していません。最新の内容は厚生労働省の公式ページと石川労働局で確認してください。

| 自社の取り組み | 主な制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 有期・パート社員を正社員に転換したい | キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 転換前に計画届の提出と就業規則への規定が必要 |
| 社員に研修・資格取得をさせたい | 人材開発支援助成金 | 訓練計画を事前に提出。OFF-JT・OJTの区分あり |
| 最低賃金の引上げと設備投資を合わせて行いたい | 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引上げと生産性向上の設備投資がセット |
| 育児・介護との両立制度を整えたい | 両立支援等助成金 | 制度の規定と実際の取得実績が要件 |
| 時間外労働の削減・休暇制度を導入したい | 働き方改革推進支援助成金 | 就業規則の改定と労働時間の改善がセット |
| 高齢者・障害者・母子家庭の母等を雇い入れたい | 特定求職者雇用開発助成金 | ハローワーク等の紹介による雇入れが要件 |
出典:厚生労働省『事業主の方のための雇用関係助成金』(2026年8月19日確認)
表のどの制度にも共通するのは、取り組みを実施した後ではなく、実施する前に計画届や就業規則の整備が必要な点です。「すでに正社員にしてしまった」「研修を受けさせたあとに知った」という状態では対象外になる制度が多く、助成金は「これからやること」に対して申請します。この順序を間違えないために、取り組みを決めた時点で社労士に相談する価値があります。
依頼先を選ぶときに確認する5項目
助成金の支援を掲げる事務所は多く、どこに頼んでも同じではありません。初回の問い合わせや面談で確認できる5項目に絞ります。
依頼先を選ぶときの5項目
- 社会保険労務士としての登録があるか(事務所名に「社会保険労務士」とあるか、石川県社会保険労務士会の会員名簿に掲載があるか)
- 自社が使いたい助成金の支援経験があるか(キャリアアップ・人材開発・業務改善など、制度ごとに要件と書類が異なる)
- 就業規則・賃金規程の整備まで対応するか(要件充足のための制度設計を含めて依頼できるか)
- 費用の内訳(着手金・成功報酬の割合・顧問契約の要否)と、不支給時の扱いが明示されているか
- 「必ず受給できる」「受給率100%」といった表現を使っていないか(支給を保証できる相手は存在しない)
1項目目の登録の有無は、石川県社会保険労務士会の公式サイトで自分で確認できます。「石川の社会保険労務士リスト」ページに支部別・市町別の会員一覧があり、事務所名・氏名・所在地・電話番号が掲載されています。依頼を検討している事務所名と代表者名が一覧にあるかを、依頼前に確認してください。
出典:石川県社会保険労務士会『石川県の社会保険労務士リスト』(2026年8月19日確認)
費用の考え方|着手金・成功報酬・顧問契約の扱い
助成金申請支援の費用は、事務所により体系が異なります。公式サイトに料金を公開している石川県内の事務所は少なく、初回相談で確認するのが基本なので、ここでは一般的な考え方だけを整理します。
| 費用の種類 | 内容 | 確認点 |
|---|---|---|
| 着手金 | 依頼時に支払う固定額。着手金なしの事務所も多い | 不支給時の扱い、着手金に含まれる作業範囲 |
| 成功報酬 | 支給決定時に受給額の一定割合を支払う。15〜30%程度が一般的な範囲 | 割合の基準(申請額か支給額か)、支払い時期、最低報酬額 |
| 顧問契約 | 月額顧問料に助成金の提案・申請支援を含める形 | 顧問料に含まれる範囲、助成金申請は別途成功報酬か |
| 就業規則等の整備費 | 要件充足のための規程作成・改定 | 成功報酬に含まれるか別途か |
費用で見落とされやすいのは、支給までの期間です。雇用関係助成金は、計画届→取り組みの実施→支給申請→審査→支給の順で進み、取り組みの内容によっては申請から支給まで半年から1年以上かかります。成功報酬型であれば事業者側の持ち出しは少ないものの、受給を前提に資金計画を組むと時期がずれます。
相談前に準備しておくもの
社労士に相談するとき、「何か使える助成金はありませんか」だけでは、相談が一般論で終わります。次の4点を先にまとめておくと、初回から具体的な制度の話に進めます。

これからやる取り組みを1つ決める
所要30分正社員転換・研修・賃上げ・両立支援のうち、実施予定の取り組みと時期を1つ挙げます。「すでにやった」ではなく「これからやる」が前提です。
就業規則と賃金規程の現状を確認する
所要30分就業規則があるか、最終改定はいつか、対象の制度(正社員転換制度・研修制度・短時間勤務等)が規定されているかを確認します。
雇用保険・社会保険の加入状況を確認する
所要10分対象者が雇用保険の被保険者か、事業所が適用事業所か。労働保険料の未納がないかも要件に関わります。
取り組みのスケジュールを整理する
所要10分いつ実施したいかと、計画届の提出時期を照らし合わせます。実施前に届出が必要な制度が多いため、余裕を見ます。
助成金申請でつまずく典型パターンと回避策
雇用関係助成金で不支給や申請断念になる原因の多くは、制度の理解不足ではなく、手順と要件の見落としです。起こりやすいパターンを整理します。
| つまずき | 兆候 | 回避策 |
|---|---|---|
| 取り組みを先に実施してしまった | 正社員転換・研修を終えてから助成金を知った | 取り組みを決めた時点で相談する。計画届が先 |
| 就業規則に制度の規定がない | 転換制度・研修制度・短時間勤務が規則に書かれていない | 要件に合わせて規則を改定してから計画届を出す |
| 労働保険料の滞納・労働関係法令違反がある | 保険料の未納、残業代未払い等 | 支給要件に抵触する。先に是正する |
| 書類の保存・勤怠記録が不十分 | 出勤簿・賃金台帳・雇用契約書が揃わない | 審査で提出を求められる。日常の記録を整える |
| 支給申請の期限を過ぎた | 取り組み完了後の申請期限(2か月以内等)を見落とす | スケジュールを社労士と共有し、期限を管理する |

まず無料で相談できる公的窓口と、無料であることの限界
石川県内で助成金の相談ができる公的窓口
「うちが使える助成金は何か」「そもそも対象か」という段階なら、社労士事務所へ行く前に無料の窓口で整理する方が遠回りになりません。助成金は労働局が所管しているため、制度の内容そのものは労働局・ハローワークに直接聞けます。
| 窓口 | できること |
|---|---|
| 石川労働局 助成金担当部署・ハローワーク | 制度の要件・必要書類の案内。申請の受付窓口でもある。書類の作成代行は行わない |
| 石川県社会保険労務士会 無料相談 | 社労士に直接相談できる無料相談会。労務管理の相談を含む |
| 石川県よろず支援拠点 | 国が設置する無料の経営相談所。社労士・診断士等が対応。助成金と補助金の切り分けから相談できる |
| 金沢商工会議所・各商工会 | 会員向けの経営相談。労務・助成金の相談会を開催することがある |
無料の窓口でできないこと
公的窓口は無料で使える一方、依頼する側が知っておくべき限界もあります。
無料の窓口でできないこと
- 申請書類の作成・提出そのものは行わない。労働局は申請を受け付ける側で、どう書けば通るかの指導はしない
- 就業規則や賃金規程の整備は窓口の業務外。要件を満たすための規則改定は自社で行うか社労士に依頼する
- 複数の助成金を組み合わせた設計や、人員計画に合わせた申請の順序といった助言は、継続して関わる社労士の方が具体的
無料窓口で制度の当たりを付け、規則の整備と書類作成まで任せたい場合に社労士事務所へ進む、という使い分けが現実的です。
専門家に依頼せず自社で申請する選択もある
雇用関係助成金の申請は事業者本人が行うことが原則で、社労士に頼まなくても申請できます。次の分岐で確認してください。
社労士に依頼した方がよい条件
- 就業規則の改定が必要で、要件に合わせた規程の作り方が分からない
- 複数の助成金を組み合わせて、人員計画と合わせて設計したい
- 社内に労務の担当者がおらず、計画届・支給申請・実績報告まで任せたい
- 顧問社労士がいない、または顧問が助成金を扱っていない
自社で申請してよい条件
- 使いたい制度が1つで、就業規則に制度の規定がすでにある
- 社内に労務担当がいて、労働局の案内を読んで書類を作れる
- 申請額が小さく、成功報酬を払うと手残りが合わない
- 労働局・ハローワークの窓口で要件を確認しながら進められる
自社で申請する場合、石川労働局・ハローワークの窓口が制度の案内と申請の受付を行っています。就業規則がすでに整っていて、使いたい制度が明確なら、窓口で必要書類を確認しながら自社で進める形でも申請できます。判断に迷う場合は、i-7の無料窓口で一度整理してから決めてください。
石川県の助成金申請に関するよくある質問
依頼先を探す段階で、担当者からよく寄せられる疑問をまとめました。制度の詳細は、厚生労働省・石川労働局の公式情報で最終確認してください。
A. 厚労省の雇用関係助成金の申請書類作成・提出は社労士の業務で、行政書士登録だけでは有償で行えません。行政書士と社労士の両方の登録がある事務所なら依頼できます。経産省系の補助金は行政書士の担当です。
A. 社労士の中にも助成金を扱わない事務所があります。助成金だけを別の事務所に依頼することは可能で、着手金なし・顧問契約不要で受ける事務所もあります。顧問との連携を事前に伝えておくと進めやすくなります。
A. 不支給の場合は成功報酬が発生しませんが、就業規則の整備費など別途費用が設定されている場合があります。見積もりで内訳を確認してください。
A. 雇用関係助成金は社労士、経産省系の補助金は行政書士と依頼先が分かれます。両方の登録がある合同事務所に相談するか、それぞれの専門家に分けて依頼します。制度の切り分けはよろず支援拠点でも相談できます。
A. 石川県社会保険労務士会の公式サイトに、支部別・市町別の会員リストが公開されています。事務所名と代表者名が一覧にあるかを確認してください。
A. 制度によりますが、計画届→取り組みの実施→支給申請→審査を経るため、半年から1年以上かかることが一般的です。受給を前提にした資金計画は避けてください。
使いたい助成金を決めてから2〜3件に相談する
石川県内で助成金の申請支援を探すとき、まず押さえるのは「厚労省の助成金は社労士、経産省の補助金は行政書士」という切り分けです。
この記事の要点
- 厚生労働省の雇用関係助成金(キャリアアップ・人材開発・業務改善等)の書類作成・提出は社労士の業務。経産省系の補助金は行政書士
- 助成金は取り組みの前に計画届や就業規則の整備が必要。実施後に知っても申請できないことが多い
- まず制度を知りたい段階なら、石川労働局・ハローワーク・石川県社労士会の無料相談・よろず支援拠点へ
- 書類作成まで依頼するなら、石川県社労士会の会員名簿で所属を確認できた事務所へ。「必ず受給」「受給率100%」は注意信号
- 費用は着手金なし+成功報酬型が多いが、就業規則の整備費と支給までの期間を見込む
- 自社で申請する選択もある。就業規則が整っていて制度が1つなら、労働局の窓口で進められる
次の行動としては、まず自社が「これからやる取り組み」を1つ決めてください。正社員転換か、研修か、賃上げか、両立支援か、このどれかが決まれば使える制度は絞れ、相談先も決まります。そのうえで早見表から2〜3件を選び、石川県社会保険労務士会の会員名簿で所属を確認し、i-5の4点を持って初回相談に進んでください。なお、助成金の申請書類の作成は社労士の業務であり、当社では行いません。助成金を使った社員研修の一環としてWebやAIの活用を検討している場合、研修内容の設計や、公開後の集客に関する相談は当社でも受けています。