ホームページにはアクセスがある。それなのに、問い合わせはほとんど来ない。こうなると「もっとSEOをやるべきか」「広告を出すべきか」「サイトを作り直すべきか」と考えがちです。
ただ、先に集客を増やしても、問い合わせの途中に問題が残っていれば、増えたアクセスをそのまま取りこぼします。まず確認したいのは、問い合わせが「発生していない」のか、それとも「送信されても社内に届いていない」のか。その次に、見込み客の流入、サービスページ、CTA、フォームの順で、どこで止まっているかを見ていきましょう。
アクセス数だけを見ても原因は分かりません。依頼につながりそうな人が来ているか、サービスページまで読まれているか、問い合わせを始めたか、正常に受信できたか、有効な相談になったか。ここまで分けると、SEOを強化するのか、1ページだけ直すのか、フォームを修正するのかを判断しやすくなります。
| 今の状態 | 先に見る場所 |
|---|---|
| 問い合わせが完全にゼロ | 送信・受信・通知 |
| アクセス自体が少ない | 検索・広告などの流入 |
| 記事ばかり読まれる | サービスへの導線 |
| サービスページは読まれる | 説明・CTA |
| フォーム開始が少ない | 相談する理由 |
| 入力途中で離脱する | 項目・エラー |
| 送信はあるが案件化しない | 対象顧客・依頼条件 |
まず「問い合わせが発生していない」のか「届いていない」のかを分ける
問い合わせがゼロだからといって、最初から「集客が弱い」とは限りません。フォームの送信処理が止まっている、受付データは残っているのに通知メールだけ届かない、迷惑メールへ入っている。こうした不具合でも、営業担当から見れば「問い合わせが来ない」状態になります。

まず自分で1件、問い合わせを送ってみる
スマートフォンとパソコンの両方から、テスト用の問い合わせを送ってみましょう。ここで見るのは「送信完了」と表示されたかどうかだけではありません。
フォームを操作する
利用者側必須項目やエラーで途中停止しないか確認します。
受付を確認する
サイト側管理画面や保存先に問い合わせ記録が残るか確認します。
通知を確認する
社内側担当者のメールやCRMへ正しく届くか確認します。
計測を確認する
分析側GA4等のイベントが実際の受付と対応しているか確認します。
例えば、管理画面には問い合わせが残っているのに担当者のメールへ届いていないなら、SEOやCTAを直す必要はありません。通知先やメール配送の確認が先です。
電話・LINE・予約など、フォーム以外の窓口も見る
問い合わせ窓口が複数ある会社では、経路をまとめて確認します。電話は来ているのにフォームだけゼロなら、サイト全体に需要がないとは言えません。フォーム特有の問題を先に疑えます。
反対に、フォーム、電話、LINEなどすべての相談が同時に減っているなら、流入やサービス需要まで範囲を広げた方がよいでしょう。
GA4のform_start・form_submitは、受付記録と一緒に見る
GA4の拡張計測では、フォームへの操作開始をform_start、送信をform_submitとして取得できる場合があります。フォーム開始と送信の差を見ると、入力途中で止まっている可能性を探れます。
ただし、form_submitが記録されたからといって、営業担当のメールやCRMまで正常に届いたことが確認できるわけではありません。サイト側の受付記録と、社内側の通知を別々に見てください。
アクセスがあっても、見込み客が来ているとは限らない
フォームに問題がなければ、次は「どんな人がサイトへ来ているか」を見ます。月間PVが多くても、その大半が用語を調べる人や採用目的の訪問なら、サービスの問い合わせにはつながりにくいからです。
Query
依頼や比較に近い検索語から来ているか
Page
どのページを入口にしているか
Area
対応地域と訪問者の地域が合っているか
Channel
検索・広告・紹介・指名を分けて見られるか
全アクセスではなく「依頼に近いアクセス」を分ける
例えば、用語解説の記事に月1,000セッションあっても、サービスページを見た人が30セッションしかいないなら、「1,000アクセスあるのに問い合わせゼロ」と考えると原因を見誤ります。
この数字は説明用の仮定ですが、考え方は同じです。まずはサービスページへ進んだ訪問や、依頼に近い検索語から入った訪問を分けてみましょう。
Search ConsoleとGA4で、入口と次の行動を見る
Search Consoleでは、検索結果で表示されたクエリとページを確認できます。GA4では、どのページから入り、その後どこへ進んだかを見られます。
ここで知りたいのは「SEOの数字が良いか悪いか」ではありません。依頼につながりそうな人が、サービス説明までたどり着いているかです。
アクセスそのものが急に減っている場合は、問い合わせ導線より先に検索流入を切り分けます。検索順位やクリックが落ちているなら、サイトのアクセス・検索順位が急に下がった原因の手順から確認してください。
記事だけ読まれているなら、削除より「次に読む場所」を作る
情報収集の記事が問い合わせに直結しないのは珍しくありません。「SEOとは」「AIとは」と調べている人全員が、今すぐ外注先を探しているわけではないからです。
だからといって、問い合わせにつながらない記事を全部削る必要はありません。読者が次に費用や依頼方法を知りたくなるテーマなら、その流れに合うサービスページや関連ページへつなげます。
サービスページでは「自社に頼めるか」を問い合わせ前に判断できるようにする
見込み客がサービスページまで来ても、そこで疑問が残れば問い合わせには進みません。特にBtoBや高額サービスでは、「何を頼めるのか」「自社も対象か」「費用はどのくらいか」「相談したら次に何が起きるか」を確認してから連絡する人も多いでしょう。
サービス名だけでなく、依頼できる仕事まで書く
「SEO対策」「システム開発」「ホームページ制作」と書くだけでは、依頼できる範囲が分かりません。
例えばホームページ制作なら、新規制作だけなのか、既存サイトの修正も受けるのか。文章や写真は誰が用意するのか。公開後の更新まで頼めるのか。こうした範囲が分かると、自社の依頼を相談してよいか判断しやすくなります。
| 読者の疑問 | ページで示す内容 |
|---|---|
| 自社も対象か | 対象業種・地域・規模 |
| 何を頼めるか | 作業範囲・成果物 |
| いくらかかるか | 価格・見積条件 |
| いつ始まるか | 相談後の流れ |
| 誰が対応するか | 担当・体制 |
| 頼んで大丈夫か | 実績・事例 |
固定価格を出せなくても、見積もりが変わる条件は出せる
個別見積もりのサービスで、最初から金額を確定できないことはあります。その場合でも「ページ数で変わる」「訪問撮影が必要なら追加になる」「外部システム連携があると工数が増える」など、金額が変わる理由は説明できます。
問い合わせ後に初めて予算が大きく合わないと分かるより、見積条件を先に出した方が、依頼側も相談するかどうかを判断しやすくなります。
実績が少なくても、担当者と進め方は説明できる
公開できる顧客名や成果数値が少ない会社でも、何も書けないわけではありません。誰が打ち合わせに参加するのか、どの範囲まで対応するのか、何を納品するのか、どのくらいの頻度で連絡するのか。こうした事実も、依頼前の不安を減らす材料になります。
CTAとフォームは「押さない理由」と「送れない理由」を分けて直す
サービス内容が伝わっていても、CTAの意味が曖昧なら押されません。CTAは押されているのに送信されないなら、今度はフォーム側の問題です。この2つを一緒に直すと、どちらが原因だったか分からなくなります。
CTAは、押した後に何ができるかを具体的にする
「お問い合わせ」だけでも意味は通じますが、見積もりなのか、相談なのか、資料請求なのかは分かりません。実際の受付内容に合わせて、次の行動が分かる文言にしましょう。
| 目的 | CTA文言例 |
|---|---|
| 見積もり | 費用と対応範囲を相談する |
| 初回相談 | 相談できる内容を確認する |
| 資料請求 | サービス資料を請求する |
| 予約 | 空き日時を確認して予約する |
すぐ問い合わせるのが重い商材なら、小さな入口も用意する
高額なBtoBサービスでは、最初の訪問でいきなり営業担当へ連絡するのが重い場合があります。そうした商材なら、料金資料、事例資料、相談前の簡易診断など、問い合わせより軽い入口を用意する方法もあります。
ただし、資料請求を増やすこと自体が目的ではありません。最終的に有効な相談へつながるかを見て判断してください。
フォーム項目は「少ないほど良い」ではなく、初回対応に必要かで決める
会社名、氏名、メールアドレス、相談内容など、初回返信に必要な項目は残す理由があります。一方、初回相談では使わない住所、部署名、詳細な予算内訳まで必須にしているなら、入力負担になっていないか確認してみましょう。
フォームを自分で操作して確認すること
- スマートフォンで入力しやすい
- 必須と任意がすぐ分かる
- 入力エラーの場所と直し方が分かる
- エラー後に入力内容が消えない
- 送信後の連絡方法や目安が分かる
問い合わせ内容をGA4へそのまま送らない
氏名、メールアドレス、電話番号、相談本文などをGA4のイベント値やURLへ入れないでください。問い合わせ内容を分析したい場合は、CRMや問い合わせ管理側で分類し、GA4には個人を特定しないイベントを送る設計にします。
出典:Google アナリティクス ヘルプ『個人を特定できる情報(PII)を送信しないようにするためのヒント』(2026年9月7日確認)
改善は、問い合わせに近いところから一つずつ進める
ここまで確認すると、「どこを直せばよいか」が見えてきます。大切なのは、トップページから順番に全部直すことではありません。問い合わせに近い場所で大きく止まっているなら、そこを先に直した方が結果を確認しやすくなります。

| 止まっている場所 | 先に直すこと |
|---|---|
| 訪問前 | SEO・広告などの流入 |
| 記事から先へ進まない | 内部導線 |
| サービスで止まる | 説明・実績・料金 |
| CTAを押さない | 文言・配置 |
| 入力途中で止まる | フォーム |
| 送信後に届かない | 受信設定 |
| 商談にならない | 対象・相談条件 |
数字を見ると、直す場所を決めやすくなる
説明用の例として、サービスページが200セッションあり、フォーム開始が2件しかないとします。この場合、フォームの項目を5個から3個へ減らす前に、サービスページから「相談しよう」と思える情報が足りているかを見る方が自然です。
反対に、フォーム開始が30件あるのに、実際の受付が5件しかないなら、サービス説明より送信処理やフォーム内の離脱を先に調べます。
一度に全部を変更しない
トップページ、サービスページ、CTA、フォームを同じ日に全部変えると、問い合わせが増えても何が効いたのか分かりません。
アクセスが少ないサイトは、数日だけで結論を出さない
問い合わせが月に数件しかないサービスでは、3日や1週間で増減を判断できない場合があります。日数を固定するより、変更したページが十分に見られたか、CTAが何回押されたか、フォームが何回開始されたかを確認してください。
検索順位そのものを改善したい場合は、Google検索順位を上げる方法14選で原因別の改善順を整理しています。
問い合わせ数だけでなく、有効相談と商談まで追う
問い合わせフォームの送信数が増えても、営業メールや対象外の相談ばかりなら、事業としては改善したと言い切れません。フォームの数字と営業側の結果をつなげて見ましょう。

「問い合わせ」の中身を先に決める
例えば、営業メール、採用応募、既存顧客からの連絡を、新規案件の問い合わせと同じ数に入れると、改善の判断がぶれます。
自社では何を「有効な問い合わせ」とするのかを決めておきましょう。対象サービスへの相談なのか、商談候補まで進んだものなのか。ここを営業側と合わせておくと、Web側の改善が本当に案件につながっているか見やすくなります。
| 段階 | 確認する数字 |
|---|---|
| 流入 | 対象ページへの訪問 |
| 検討 | サービスページ閲覧 |
| 行動 | CTAクリック |
| 入力 | フォーム開始 |
| 受付 | 実際の受信 |
| 質 | 有効問い合わせ |
| 営業 | 商談・受注 |
月1,000セッションの仮想例で考える
仮に月1,000セッションあり、サービスページ200、フォーム開始20、実際の受付12、有効相談6、商談3だったとします。
「1,000アクセスで問い合わせ12件」とだけ見るより、どの段階で人数が大きく減ったかを見た方が、次の改善を決めやすくなります。フォーム開始から受付まで落ちているのか、受付後に対象外の相談が多いのかでは、直す場所が違うからです。
自然検索・広告・紹介を混ぜない
広告から来た問い合わせをSEOの成果へ入れると、どの施策が効いたのか分かりません。自然検索、広告、紹介、指名検索など、分けられる範囲で経路を残しておきましょう。
SEOの成果測定はSEO対策の効果とは?成果が出るまでの期間と測定方法で詳しく解説しています。
全面リニューアルより、部分改善で足りるケースも多い
問い合わせが来ないからといって、ホームページを全部作り直す必要はありません。フォームが正常に動き、サービスページの編集もできるなら、問題がある部分だけ直して検証できるケースがあります。
部分改善で試しやすいケースと、追加調査が必要なケース
部分改善から試しやすい状態
- フォームの送受信は正常
- 問題が特定ページに絞れる
- 変更前後の数字を確認できる
- 自社で更新権限を持っている
先に追加調査したい状態
- 複数フォームで障害がある
- 管理者権限や契約主体が不明
- URLやサイト構造から見直す必要がある
- 計測自体が壊れている
例えば、依頼に近い検索語からサービスページへ人が来ているのに、料金や対応範囲が分からないなら、そのページの修正から始められます。反対に、管理権限がなくフォームの仕組みも不明、URL構造も複雑という状態なら、ページ文言だけ直しても問題が残ります。
SEOや広告を先に強化するケースもある
サービスページへ依頼に近い見込み客がほとんど来ていないなら、サイト内改善だけでは問い合わせの母数が増えません。その場合はSEOや広告など、流入を増やす施策が必要になります。
ただし、フォームやサービスページに大きな問題があるなら、集客と並行して直してください。入口だけ増やしても、出口が詰まったままでは取りこぼしが続きます。
問い合わせを増やすこと自体が最優先でない会社もある
受注枠がすでに埋まっている、狙う顧客が決まっていない、問い合わせ後の返信体制が整っていない。こうした場合は、件数を増やす前に受け入れ条件や社内体制を決めた方がよいでしょう。
ホームページの問い合わせに関するよくある質問
A. 全サイト共通の基準はありません。商材、検索意図、単価、検討期間、サービスページ到達、問い合わせ方法で変わります。全PVではなく、依頼に近い訪問を分けて確認してください。
A. まずフォームを自分で送信し、受付・通知まで正常か確認してください。正常なら、サービスページ到達、CTAクリック、フォーム開始の順で止まっている場所を探します。
A. 外部の平均値より、自社の変更前後と流入経路別の推移を優先した方が判断しやすいです。サービス内容や問い合わせの定義が違えば、同じ率でも意味が変わります。
A. 少なければよいとは限りません。初回返信に必要な項目は残し、後から聞ける情報まで必須にしていないか確認しましょう。
A. 固定の最適数はありません。読者が相談を検討する位置に置き、同じ画面で複数のCTAが競合していないかを確認してください。
A. 別のCVとして分けるのがおすすめです。資料請求と商談相談では検討段階が違うため、同じ件数にまとめると改善判断がしにくくなります。
A. 保証できません。送受信、流入、サービス説明、CTA、フォームのどこで止まっているかを確認してから、必要なデザイン改修を決めましょう。
A. 見込み客の検索流入不足が主因なら候補です。すでに見込み客が来ているのにサービス説明やフォームで止まっている場合は、その箇所の改善が先です。
A. 固定日数では決められません。変更したページの閲覧数、CTAクリック、フォーム開始など、判断に必要なデータが十分に集まったかを確認してください。
A. 送信数だけを増やす必要はありません。有効問い合わせとスパムを分け、必要なら迷惑送信対策と対象顧客の説明を見直します。
問い合わせが来ないときは、止まっている場所を一つ決めてから直す
問い合わせが来ない原因は、「アクセス不足」の一言では片づけられません。フォームが届かないこともあれば、見込み客が来ていないこともあります。見込み客は来ているのに、サービス内容や費用が分からず離脱している場合もあります。
最初に確認する6つの順番
- 問い合わせを自分で送って受け取れるか
- 依頼に近い人がサイトへ来ているか
- サービスページまで進んでいるか
- 相談前に必要な情報が揃っているか
- CTAとフォームで止まっていないか
- 有効問い合わせと商談まで追えているか
全部を同時に直す必要はありません。まず一番大きく止まっている場所を一つ決め、そこから改善しましょう。原因が分かれば、SEOを増やすべきか、サービスページだけ直せばよいか、フォームの修正が先かを判断しやすくなります。