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SaaSのLLMO対策|自社サイト外で決まる評価と対処

更新日2026.07.26
確認時点2026年7月時点

自社サイトのコンテンツを整備しているのに、生成AIに製品カテゴリを尋ねても自社の名前が出てきません。SaaS事業でこの状況に直面している方は少なくありませんが、その原因は自社サイトの品質だけにあるとは限りません。AIが製品を比較する際に根拠として参照しているのは、多くの場合、自社が管理していない外部の媒体です。そこに掲載されている料金や機能の情報が古いまま放置されていると、自社サイトをいくら改善しても、不正確な形で参照され続けます。評価を左右しているのが自社の外側だとすれば、最初に測るべき対象も、最初に手をつける場所も変わります。

この記事でわかること

  • AIがSaaSを比較する際に参照している情報源
  • 自社で統制できない領域が評価を決める構造
  • 引用と推薦を分けて測る必要がある理由
  • 自社サイト側で優先すべきページの種類
  • 外部露出を増やす施策が逆効果になる条件
疑問と答えの早見表
疑問短い答え
自社サイトを直せば出るようになるか自社サイトだけでは届かない領域がある
何を最初にやるべきか外部媒体上の自社情報の棚卸し
引用されていれば成功か引用と推薦は別。本文で競合が推されている場合がある
どのページを優先すべきか機能一覧よりユースケースと選定基準
一度調べれば終わりかカテゴリごとに引用元が異なるため継続観測が要る
露出を増やせば有利か実体を伴わない露出はスパム扱いのリスクがある
※各行の詳細は本文の該当章で解説します。判断の前提となる出典は本文に記載しています。

早見表の各項目には、Google公式ドキュメントの記述、または構造からの推論という根拠があります。根拠の種類は本文の該当箇所で区別して示します。以下の目次から、判断に必要な箇所へ直接進んでいただけます。

SaaSがAI回答に登場するかどうかは、自社サイトの外で決まる部分が大きい

コンテンツを増やしても状況が変わらず、原因の切り分けに困っている方が多い領域でしょう。まず前提を整理します。

生成AIが「この課題に使えるツールは何か」という質問に答えるとき、参照するのは自社サイトだけではありません。製品を横並びで比較した情報、実際の利用者による評価、業界メディアの記事といった第三者の情報が、判断の材料として使われます。自社サイトは自社製品の説明はできても、他製品との相対的な位置づけを示すことができません。比較の文脈で必要とされる情報が、構造上、外部に偏在しているためです。

AI検索が流入全体に与える影響については、AI検索がSEO流入に与える二層の影響で調査データをもとに整理しました。本記事ではSaaS固有の構造に絞って扱います。

AIが比較の根拠にするのは、自社が管理していない情報源である

では具体的に、どの情報源を確認すべきなのでしょうか。ここで重要なのは、答えが業種や製品カテゴリによって変わるという点です。

SaaSの選定に関する質問では、製品を横断的に整理した媒体が根拠として参照されやすいと当社は考えています。製品名、提供会社、主な機能、料金、対象企業規模、比較表といった情報が一箇所に構造化されて並んでおり、比較の材料として扱いやすい形になっているためです。これは情報の構造からの推論であり、参照率を測定した検証結果ではありません。

外部媒体上で確認すべき自社情報

  • 製品名と提供会社名の表記
  • カテゴリ分類の妥当性
  • 掲載されている機能の範囲
  • 料金プランと価格の最新性
  • 対象企業規模の記述
  • 掲載されているレビューの内容と件数
  • 最終更新日

これらのうち、料金と機能の記述には特に注意が必要です。価格改定やプラン統合を行っても、外部媒体の記載が旧情報のまま残っているケースは珍しくありません。AIはその情報を根拠として回答を組み立てるため、実態と異なる条件で比較されることになります。露出があるだけに、この状態は機会損失として大きくなります。

外部の情報源に対する働きかけの考え方は、サイテーションや被リンクの獲得と共通する部分があります。基礎的な進め方はSEO外部対策の実施施策で扱っています。

自社で書き換えられない情報源が評価を決める、という構造的なリスクがある

ここが従来のSEOとの決定的な違いです。対策の性質そのものが変わります。

統制できる領域とできない領域の境界。自社サイトは編集可能だが、比較メディアやレビューは申請や依頼を経る必要があり、掲示板やAIの学習内容は統制できない

検索順位を上げる施策では、対象の大半が自社サイト内にありました。コンテンツの品質、内部構造、表示速度といった要素は、自社の意思決定で変更できます。ところが生成AI上での評価は、自社が編集権限を持たない領域に依存する割合が高くなります。

1

統制できる

自社サイトのコンテンツ、構造、公開情報の正確性。意思決定だけで変更できます。

2

交渉が要る

比較メディアやレビューサイトの掲載内容。申請や依頼を経て初めて変わります。

3

統制できない

コミュニティでの言及、第三者の記事、モデルが学習した過去の情報。直接の変更手段がありません。

この構造がもたらす実務上の帰結は二つあります。ひとつは、施策の効果が出るまでのリードタイムが読みにくくなることです。自社サイトの修正は即日反映できますが、外部媒体の更新は相手方の運用に依存します。もうひとつは、放置した場合の損失が時間とともに拡大することです。古い情報が長く残るほど、それを根拠とした回答が蓄積されていきます。

引用されることと推薦されることは、別の成果である

効果を測る段階で最初につまずくのが、指標の設計です。ここを誤ると、改善の方向を見失います。

引用と推薦の分離。自社サイトが引用元になっていても本文では競合が推薦される場合と、直接引用がなくても第三者経由で推薦される場合を対比

自社サイトが引用元のURLとして表示されていても、回答の本文では競合製品ばかりが推奨されている場合があります。逆に、自社サイトが直接引用されていなくても、第三者の媒体を経由して自社製品が有力な候補として挙げられている場合もあります。引用の有無だけを追っていると、どちらの状況も正しく評価できません。

候補化
質問に対する選択肢のひとつとして自社製品が挙がる割合
推薦
明確に推奨される形で提示される割合
最上位推薦
第一候補として提示される割合
公式引用
自社サイトが回答の根拠として引用される割合

なおこの4区分は、当社が観測のために定義した自社指標であり、公式の評価指標ではありません。自社の製品特性や比較のされ方に応じて、定義を調整していただいて構いません。

指標を分けておく実務上の利点は、打ち手が特定できることにあります。引用はされているのに推薦されていないなら、自社サイトの内容が比較の判断材料として弱い可能性があります。引用がないのに推薦されているなら、外部媒体上の評価が機能しているため、自社サイトの改修より外部の記述の維持を優先すべきでしょう。効果測定の基本的な考え方はSEO対策の効果と測定方法で扱っています。

自社サイト側で効くのは、機能一覧ではなくユースケースと選定基準である

外部の話が続きましたが、自社サイトで打てる手もあります。ただし優先すべきページの種類は、従来の想定と異なります。

ページ種別ごとの優先順位。ユースケース、選定基準、料金の順に優先度が高く、機能一覧は相対的に低いことを示す図

生成AIが製品を比較する際の問いは、「何ができるか」よりも「どの企業のどんな課題に向くか」に寄ります。利用者が最初に投げる質問が、機能名ではなく状況の説明であることが多いためです。従業員規模、業種、既存システムとの連携要件、体制の制約といった条件から候補が絞られていきます。

ページ種別ごとの優先順位
ページ種別AIが参照する場面優先度判断参考
ユースケース課題や状況からの絞り込み先に着手BtoBの設計
選定基準・比較の考え方複数候補の評価軸を示す場面先に着手
料金・プラン条件付きの絞り込み正確性を維持
導入事例規模や業種の適合を示す場面継続追加
機能一覧機能名からの検索既存を維持コンテンツSEO
※判断列は自社の製品特性と競合状況に応じて上書きしてお使いください。

機能一覧のページが不要という意味ではありません。すでに整備されている場合が多く、追加投資の優先度が相対的に低いという判断です。新たに工数を投じるなら、ユースケースと選定基準のページから着手する方が、比較の場面で参照される可能性が高まります。

選定基準のページを作る際に注意したいのは、自社に有利な軸だけを並べないことです。Googleの公式ドキュメントは、既存の情報を要約しただけの内容ではなく、一次体験に基づく独自の視点を持つコンテンツを評価すると述べています。自社の優位性だけを並べたページは、比較の判断材料としては弱くなります。他の選択肢が適する条件も併記するほうが、読者にとっての判断価値が上がると当社は考えています。

引用元はカテゴリごとに異なるため、一度の調査では終わらない

ここまでの整理を実行に移す段階で、もうひとつ前提を押さえておく必要があります。

カテゴリごとに引用元が分かれる構造。製品カテゴリによって参照される媒体も比較の軸も異なる

同じSaaSという括りでも、製品カテゴリが変われば比較の軸が変わります。導入の判断者、検討期間、重視される要件がそれぞれ異なるためです。それに伴い、AIが根拠として参照する媒体も変わります。あるカテゴリで強い影響力を持つ媒体が、別のカテゴリでは参照されないという状況が生じます。

1

対象カテゴリを決める

所要1日

自社製品が比較される文脈を、主要なもの2〜3に絞ります。

2

想定質問を作る

所要2〜3日

利用者が実際に投げる質問を、状況説明から条件付き絞り込みまで階層的に用意します。

3

現在地を記録する

所要2〜3日

各質問への回答で、候補化・推薦・引用がどうなっているかを記録します。

4

引用元を分類する

所要1〜2日

参照されている媒体を種類別に整理し、影響の大きい順に並べます。

5

再観測の周期を決める

所要1日

変化の速さに応じて、週次か月次かを決めます。

一度の調査で終わらせない理由は二つあります。ひとつは、生成AIの回答が同じ質問に対しても変動するためです。単発の観測結果を根拠に施策を決めると、偶然の差を優先課題と誤認する危険があります。もうひとつは、媒体側の掲載内容や順位が変わるためです。競合が新たに掲載を始めれば、参照される情報の構成も変わります。

「AI向けの特別対応」として語られる施策の一部は、公式が不要と明言している

対策を調べるほど、実施すべき項目が増えていくように感じられる領域でもあります。ただ、公式ドキュメントが明確に不要としている項目があります。

Googleが「Google Searchについては無視してよい」としている項目は次のとおりです。

公式が不要としている施策

  • llms.txtなどのAI向けテキストファイルの作成
  • コンテンツを細かく分割する対応
  • AI向けに文体を書き換える作業
  • 実体の伴わない言及の獲得
  • 構造化データへの過剰な投資

構造化データについては補足が必要です。生成AI検索の必須要件ではないものの、リッチリザルトの獲得を目的として継続することは推奨されています。既存の実装を撤去すべきという意味ではありませんので、そのまま維持してください。

AI専用ファイルに投資する場合の利点

  • 他のAIサービス向けの整備にはなる
  • 社内の情報整理が進む
  • 低コストで着手できる

同じ投資が抱える負担

  • Google Searchの評価には作用しない
  • 運用対象のファイルが増える
  • 効果検証の指標を持てない

この整理には限定があります。公式が不要としているのは、あくまでGoogle Searchについての話です。他のサービスが同種のファイルをどう扱うかは各社の仕様に依存しており、公式ドキュメントも他システム向けに用意すること自体は妨げていません。極小のコストで維持できる範囲にとどめ、主要施策として工数を割かない判断が現実的でしょう。LLMOという用語の整理はLLMO対策とSEOの違いで解説しています。

出典:Google 検索セントラル『Optimizing your website for generative AI features on Google Search』(公開日記載なし)(2026年7月26日確認)

外部媒体への掲載強化が、逆効果になるケースもある

外部の情報源が重要だという整理から、露出を増やす方向へ一気に進みたくなる場面です。ただし、条件によっては損失を招きます。

実体を伴わない言及を増やす場合

Googleの公式ドキュメントは、実体の伴わない言及を求めることについて、見た目ほど有用ではないと述べています。中核のランキングシステムが高品質なコンテンツを評価し、別のシステムがスパムを排除する仕組みになっており、生成AI機能はその両方に依存しているためです。なお、同ドキュメントがスパムポリシー違反として名指ししているのは、検索表現のバリエーションごとにページを量産する行為であり、外部媒体への掲載そのものではありません。数を目的とした積み増しは、違反というより評価につながらない投資として扱うのが妥当でしょう。

出典:Google 検索セントラル『Optimizing your website for generative AI features on Google Search』(公開日記載なし)(2026年7月26日確認)

カテゴリの定義が曖昧なまま露出を広げる場合

自社製品がどのカテゴリに属するのかが定まっていない状態で掲載先を増やすと、媒体ごとに異なる分類で紹介されることになります。AIは複数の情報源を突き合わせて製品像を組み立てるため、分類が割れていると輪郭が曖昧になります。結果として、特定の課題に対する候補として想起されにくくなります。露出を広げる前に、カテゴリと訴求する課題を社内で確定させてください。

着手を推奨する条件

  • 製品カテゴリと対象顧客が社内で定義されている
  • 外部媒体上の情報を定期的に更新できる体制がある
  • 2〜3か月以上の観測期間を確保できる

先に整理を優先すべき条件

  • カテゴリの位置づけが定まっていない
  • 掲載情報の更新を担当する体制がない
  • 短期の露出獲得のみを目的としている

当社の支援においても、カテゴリの定義が固まらないまま露出だけを増やす進め方は、成果の設計が難しくなります。掲載先を広げる前に、どの課題を持つ企業に向けた製品なのかを確定させる工程を置かせていただいています。

外部媒体上の自社情報について相談する※現在の掲載状況を伺ったうえで、優先順位をご提案します

SaaSのLLMO対策に関するよくある質問

SaaS特有の論点について、寄せられることの多い質問へ短く回答します。前提によって答えが変わる項目は、本文の該当章もあわせてご確認ください。

A. 自社サイトも重要ですが、比較の文脈で参照される情報は外部に偏在しています。両方を並行して進める必要があります。

最初に着手すべきは、外部媒体上の自社情報の棚卸しである

SaaSのAI検索対応では、自社サイトの外にある情報源が評価を左右します。比較の文脈で必要とされる情報が外部に偏在しているという構造は、対策の性質そのものを変えます。自社サイトの改修と同じ感覚で計画を立てると、反映までの期間が読めず、進捗の判定ができなくなります。着手前に押さえておきたい点を整理します。

着手前に押さえる要点

  • 最初の一手は外部媒体上の自社情報の棚卸し
  • 料金と機能の記述が古いまま残っていないかの確認
  • 引用と推薦を分けた指標設計の用意
  • カテゴリごとに引用元が異なる前提での観測設計
  • 掲載件数ではなく掲載情報の正確性を成果指標に置く

料金や機能の記述が古いまま残っていないかを確認するだけでも、不正確な比較を減らせます。あわせて、引用と推薦のどちらが欠けているかによって次に打つべき手が変わるため、指標を分けた測定を先に用意してください。引用元となる媒体はカテゴリごとに異なり、時間とともに変化します。一度の調査で終わらせない設計を、最初から計画に組み込んでおくことをおすすめします。

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