福井県内では、製造業の社内資料検索、県庁の文書作成、市民向けの問い合わせ案内、医療現場での実証など、AIを使った取り組みが公表されています。福地では約30年分の図面・案件データ、ジャパンポリマークでは100種類以上の製造マニュアルを扱う取り組みが報告されています。
事例によって、本格導入、試行、実証の段階は異なります。「AIを使っているか」ではなく、「どの仕事で、どの範囲まで成果が確認できたか」を比べると、自社で試す業務を選びやすくなります。
企業・自治体の事例を、資料の規模や公表された成果とともに紹介します。その後に、自社で小さく試す方法と、確認・修正まで含めた効果の測り方を整理します。
福井県のAI活用事例を、企業・自治体ごとに見る
まずは、どの組織が何にAIを使っているのかを一覧で見てみましょう。会社全体を自動化するような話ばかりではありません。社内資料を探す、文書の下書きを作る、問い合わせを案内するといった、日常の仕事が対象になっています。
| 主体 | 対象の仕事 | 公表された段階 |
|---|---|---|
| 福地 | 過去の図面検索 | 2026年に実証を報告 |
| ジャパンポリマーク | マニュアル検索・翻訳 | 2026年2月に試行を報告 |
| 福井県庁 | 文書作成など | 2024年4月に全庁導入の説明 |
| 福井市 | 市民の問い合わせ案内 | 公式の利用案内を確認 |
| 済生会病院・福井工業大学 | ケアボットの評価 | 2024年7月に実証 |
例えば、「前の案件の資料を探すだけで時間がかかる」という会社なら、福地の事例が参考になります。外国人従業員へ作業手順を伝える場面があるなら、ジャパンポリマークの取り組みが近いでしょう。
掲載事例には、本格導入済みのものと、対象を絞った実証・試行が含まれます。成果を見るときは、対象業務、使った資料、公表時点で確認できた結果を分けて見てください。
県内企業では、図面検索とマニュアル活用の実証が進む
社内には資料があるのに、必要なときに見つからない。こうした仕事では、資料を新しく作るより、すでにある情報を使いやすくする方が先です。ここで紹介する2社も、社内資料を探して利用する仕事にAIを試しています。
福地|過去の図面を、自然な言葉で探す
木製家具を製造する株式会社福地では、約30年分の図面・案件データを、自然な言葉で横断検索する実証が行われました。公開資料では、全国の幼稚園・保育園向け案件を担当する3名が、それぞれ自分の担当案件を把握する運用だったため、他担当の資料を探しにくい状態だったと説明されています。
実証では社内資料をAIへ読み込ませ、曖昧な言葉でも関連する過去案件を探せるかを試しました。一方、データ容量とフォルダ構造の事前整備が課題となり、公表時点では全資料の投入には至っていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業 | 株式会社福地 |
| 事業 | 木製家具の製造・販売 |
| 蓄積資料 | 約30年分の図面・案件 |
| 検索の課題 | 担当3名に知識が属人化 |
| 試したこと | 自然な言葉による横断検索 |
| 実証時の課題 | 容量・フォルダ構造の整備 |
| 公表時点 | 一部データで実証段階 |
| 公式サイト | 株式会社福地の会社概要 |
自社に当てはめるなら、「図面を何枚読み込めるか」を聞く前に、どの資料を検索対象にするかを決めましょう。例えば、過去案件を一部選び、ファイルの種類、保管場所、版、閲覧できる人を整理する方法があります。
検索結果に似た図面が出ても、それが現行版なのか、検討段階で不採用になったものなのかが分からなければ、担当者は結局調べ直します。候補を出す速さだけでなく、「使ってよい資料だと確認できるまで」の時間を比べると、実務で役立つかを判断しやすくなります。
出典:GenX株式会社『木製家具メーカーの過去の関連図面をAIで横断検索。属人化した案件データの活用を実証実験。GenX社AIエージェント「ナンデモンAI」が、福井の木製家具メーカー「福地」のDX実証を支援』(2026年7月28日公開)(2026年9月28日確認)
ジャパンポリマーク|製造マニュアルを検索し、多言語で確認する
熱転写ラベルを手がけるジャパンポリマークでは、作業標準書など100種類以上のマニュアルを、製造現場で検索・多言語化する取り組みが報告されています。ベトナム、ウクライナ、タイなどの外国人従業員が増えるなか、日本語マニュアルを必要なときに確認しにくいことが課題でした。
現場には23台のタブレットを導入し、日本語の元ファイルから各国語へ自動翻訳・展開できる仕組みを構築しています。報告時点では初期段階とされており、「マニュアルを見なかったことに起因する不良損金」の削減は今後目指す成果です。削減率が確定した実績としては扱いません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業 | ジャパンポリマーク株式会社 |
| 事業 | 熱転写ラベルなど |
| 資料規模 | マニュアル100種類以上 |
| 利用環境 | タブレット23台 |
| 利用者背景 | 外国人従業員が増加 |
| 試していること | 検索・自動翻訳 |
| 運用方法 | 日本語の元資料から多言語化 |
| 目指す成果 | 不良損金の削減 |
| 公式サイト | ジャパンポリマーク公式サイト |
同じようにマニュアルを活用したい会社では、翻訳が自然かどうかだけで判断しないでください。例えば、原文にある作業前の確認や禁止事項が抜ければ、読みやすい翻訳でも手順書としては使えません。
原文と訳文を比べられる担当者を決め、作業の順番や禁止事項まで確認します。どの版を使って翻訳したかも残しておけば、原文の更新漏れと翻訳の誤りを分けて調べられます。
出典:ふくいDXオープンラボ『県内事例から学ぶ生成AI導入効果~AI-OCRとAIエージェントの実装で何が変わったか~を開催しました』(2026年2月9日公開)(2026年9月28日確認)

資料が少ないなら、フォルダ整理だけで足りる場合もある
資料を探しにくい原因が、単に名前の付け方や置き場所の違いなら、AIを入れる前に直せることがあります。案件名・作成年月・版の付け方をそろえる、現行マニュアルの保管先を一つにする、といった方法です。
整理だけで必要な資料へたどり着けるなら、その方法を続けても構いません。反対に、資料が増え、正確なファイル名を覚えていないと探せない仕事では、自然な言葉による検索を比較する理由があります。まず現在の検索方法を基準にして、改善する部分を見つけましょう。
福井県庁は、業務で試しながら利用ルールを更新している
福井県庁の取り組みでは、実証から全庁導入へ進んだ経緯に加え、利用ルールの改定と、個別業務で報告された削減時間まで確認できます。企業が参考にしやすいのは、「導入した」という事実より、使う業務と確認ルールを分けて運用している点です。
2023年の実証を経て、2024年4月の全庁導入を案内した
県の公式ページでは、2023年6〜7月に職員有志が実証を行い、同年10月から全庁での実証へ進んだことが説明されています。そのうえで、2024年4月から企業版Copilotを全庁で本格導入する経緯が記載されています。
| 年月 | 確認できる動き |
|---|---|
| 2023年6〜7月 | 職員有志による実証 |
| 2023年9月 | ガイドライン初版 |
| 2023年10月〜 | 全庁での実証 |
| 2024年4月 | 全庁導入の説明・Ver.2.0 |
| 2026年4月 | Ver.3.0へ改定 |
出典:福井県『福井県のDX推進について』、福井県『福井県生成AI利用ガイドライン Ver.3.0』(2026年9月28日確認)
この経緯で注目したいのは、導入後にもガイドラインを改定していることです。企業でも、最初に決めた用途から使い方が広がるなら、扱う資料や確認方法を見直しましょう。

アンケート作成は50分、案内文の推敲は35分程度の削減を報告
県の『福井県生成AI活用事例集』には、具体的な作業時間を記載した例があります。公共交通のアンケート項目を2パターン作る事例では「従来1時間→10分」で50分削減、県民向けのお知らせ等を推敲する事例では35分程度の削減が報告されています。
| 事例 | 公表された作業時間 | 報告値 |
|---|---|---|
| アンケート項目作成 | 1時間→10分 | 50分削減 |
| お知らせ文の推敲 | 推敲15分+調整20分 | 35分程度削減 |
企業で応用するなら、公開イベントの案内文を読みやすくする、サービス利用者へ聞きたい質問の候補を作る、といった使い方が考えられます。ただし、文章が整ったことと、案内する日程や条件が正しいことは別です。担当者が元の資料と照合し、必要な条件が抜けていないかを確認してください。
出典:福井県『福井県生成AI活用事例集』事例⑥・⑩(文書公開日記載なし、2026年9月28日確認)
県のDX推進ページから、生成AI利用ガイドライン Ver.3.0と生成AI活用事例集を直接確認できます。
福井市の問い合わせ対応と、医療現場の実証を見てみる
外部の人が使うAIでは、便利に答えることに加え、どの質問を受け付けるかも重要です。福井市の一般案内と、医療現場で行われた実証を分けて見てみましょう。
福井市|LINEとWebで、市の情報を案内する
福井市は、LINEと市ホームページから利用できるAIチャットボットを案内しています。公式ページでは、24時間365日、自動で質問に答える仕組みとして紹介されています。一方、個人に関する質問は受け付けず、氏名や住所、電話番号などを入力しないよう注意しています。
参照した案内ページの更新日は2024年1月31日です。これは導入開始日を示すものではありません。また、その案内だけでは、特定の生成AIモデルを使っているとは確認できません。
出典:福井市『AIチャットボットがご質問に24時間365日自動でお答えします!』(2024年1月31日更新)(2026年9月28日確認)
自社の問い合わせ対応へ応用するなら、営業時間や必要書類の案内と、価格交渉や契約内容の相談を分ける方法が考えられます。公開資料に答えがないときは、無理に回答するのではなく、担当者へ相談できる連絡先を示す設計にしましょう。
例えば「標準の納期は何日ですか」と「今回だけ納期を短くできますか」では、必要な判断が違います。前者は案内済みの情報で答えられても、後者には受注状況などの確認が必要です。この境界を先に決めれば、何を自動化し、何を人に残すかが見えてきます。
福井県済生会病院と福井工業大学|がん患者向けAIケアボットを臨床研究で評価する
福井県済生会病院と福井工業大学AI&IoTセンターでは、がん患者向けの音声対話型AIケアボットの研究が続いています。福井工業大学は、2025年12月に実施した第2期の臨床研究に21名が参加したと報告しています。
同大学の発表では、5段階アンケートの「医師に聞きにくいことを話せた」という項目が76.2%となり、対話前後に実施したPOMS2短縮版では、怒り、混乱、抑うつ、疲労、不安の5尺度すべてで統計的に有意な改善が確認されたとしています。
ただし、これは特定の臨床研究で得られた結果です。AIが治療そのものを代替できることや、他の患者・医療機関でも同じ結果になることを示すものではありません。企業が参考にするなら、医療のように誤回答の影響が大きい用途ほど、利用者を増やす前に評価方法と人の確認体制を決める必要がある、という点です。
出典:福井工業大学『AIケアボット臨床研究第2期を実施 ー がん患者さんの76.2%が「医師に話せなかった悩みを相談できた」、心理評価でも有意な改善を確認』(2025年12月16日公開)(2026年9月28日確認)
自社で試す業務は3条件で絞り、本格導入は別に判断する
ここまでの事例では、資料の整理、使う範囲の限定、人による確認が共通して重要でした。自社で試すときも、最初から全社へ広げず、一つの業務で従来手順と比べます。以下の試行票と入力文は、本記事で作成した例です。
資料・繰り返し量・確認担当の3点で候補を選ぶ
試す仕事を選ぶとき、当社では、必要な資料を絞れるか、同じ作業が繰り返されるか、答えの正しさを判断する人がいるか、という3点から整理する方法をおすすめしています。
資料が見つからないままでは、AIに何を読ませればよいかが決まりません。年に一度しか発生しない仕事なら、準備に使う時間の方が大きくなる可能性があります。そして、出力の正しさを誰も判断できない仕事は、試しても良し悪しを評価できません。
試行候補にしやすい状態
- 使う資料の範囲を絞れる
- 同じ作業を繰り返している
- 元資料で答えを確かめられる担当者がいる
先に業務や資料を整理したい状態
- 正しい資料の所在が分からない
- 発生がまれで準備負担が大きい
- 回答の正しさを誰も判断できない
この3点は候補を探すための整理です。そろえば何でも入力してよい、すぐ本格導入してよい、という条件ではありません。試行前に、使用する資料とAIの利用環境を社内で承認してください。
公開済みの案内を使い、返信案の作成だけを試す
例えば、公開済みのサービス案内を使って、問い合わせへの返信案を作る仕事を考えます。いきなり顧客へ自動返信するのではなく、架空の質問への下書きだけを作り、現在の定型文と比べるところから始められます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対象業務 | 公開案内を使う返信案作成 |
| 対象外 | 価格交渉・契約の確定 |
| 試す資料 | 公開済みサービス案内3本 |
| 質問 | 架空の質問20問 |
| 利用者 | 営業担当2人 |
| 確認者 | サービス責任者 |
| 期間 | 2週間を仮の区切りにする |
| 比較対象 | 現在の定型文による対応 |
| 記録するもの | 元資料・修正箇所・所要時間 |
| 外部送信 | 試行中は行わない |
| 中止後 | 従来の定型文へ戻す |
20問には、資料を読めば答えが分かる質問だけでなく、担当者へ確認しなければ答えられない質問も入れます。正しい答えを出す力だけ見ていると、答えられないところで勝手に条件を作る問題を見落とすからです。
例えば、次のように依頼できます。
この質問では、「無料で特急対応できます」と約束していないかを見ます。根拠として挙げた見出しが本当に資料にあり、説明内容とも合っているかも確認してください。指示文を書いたこと自体は、誤回答を防げる保証にはなりません。
本格導入は、安全・品質・工数・費用を見てから決める
試行で確認したいのは、返信文ができたかどうかだけではありません。元資料と照合できるか、修正が必要な箇所は何か、確認を終えるまでの時間が短くなるかを記録します。
入力禁止の情報を扱ってしまう、誤りを責任者が見つけられない、といった問題があれば、作業が速くなっても対象を広げません。費用と継続的な更新の手間まで含めて判断する方法は、後の章で計算例とともに説明します。

他県の取り組みも比較するなら、石川県のAI活用事例から、自社と業務や導入段階の近い例を探せます。県の違いだけでなく、使った資料や確認体制が近いかも見てみましょう。
県の公開資料を参考に、自社のAI利用ルールを作る
AIを使い始めると、「この見積書は入力してよいのか」「できた文章をそのまま送ってよいのか」といった判断が必要になります。担当者ごとに答えが違う状態を避けるため、試す仕事と一緒に最低限のルールも決めておきましょう。
県のガイドラインはVer.3.0を読み、適用対象の違いを押さえる
今回確認した福井県のガイドラインは、2026年4月のVer.3.0です。県職員の利用を対象とし、入力情報の制限、生成物の確認、公開するときの責任などを定めています。
企業で参考にしたいのは、県の組織名や情報分類をそのまま写すことではなく、何について判断する必要があるのか、という点です。自社では、利用目的、契約環境、扱う資料、承認する人に合わせて決め直します。
出典:福井県『福井県生成AI利用ガイドライン Ver.3.0』4.1〜4.4(2026年4月版、2026年9月28日確認)
公開情報だけを扱う試行なら、この項目から自社ルールを作る
前章の返信案作成を試す場合、例えば次のように決められます。県の規程を複製したものではなく、本記事で作成した記入例です。
| 決めること | 記入例 |
|---|---|
| 対象者 | 試行に参加する営業担当2人 |
| 利用目的 | 公開サービス案内の返信下書き |
| 利用環境 | 会社が承認した各自のアカウント |
| 入力できる情報 | 公開済みで利用権限のある資料 |
| 入力しない情報 | 顧客情報・個別見積・未公開図面 |
| 出力の確認 | 責任者が元資料と照合 |
| 外部への送信 | 試行中は送信しない |
| 残す記録 | 資料の版・修正内容・判断理由 |
| 事故時の対応 | 利用停止・責任者へ報告 |
| 見直す時期 | 試行終了時と環境変更時 |
この例では、顧客への送信を対象外にしています。本格運用で外部へ文章を出すなら、誰が確認して送信するかを改めて決めてください。試行の範囲を広げる際に、ルールも合わせて変えるということです。
また、承認する責任者を「上司」とだけ書くと、人事異動の際に曖昧になります。社内で使う版には担当者名や連絡先を入れ、判断に迷ったら誰へ相談すればよいかが分かるようにしておきましょう。

事例集の回答も、正しい情報かは別に確かめる
県の活用事例集にはFAQの作成例もあります。ただし、掲載された出力をそのまま業務上の正解として使うものではありません。例えば、気候データを集めた事例には、気象台のデータと細かな数値が異なる旨も記載されています。
この点は、自社でも気を付けたいところです。案内文の候補を出す仕事と、正確な数値を調べる仕事では、確認する方法が違います。数値や規則を扱うなら、生成された回答を根拠にせず、元資料へ戻って確かめましょう。
出典:福井県『福井県生成AI活用事例集』事例⑧・テンプレート④(文書公開日記載なし、2026年9月28日確認)
出典:福井県『福井県ホームページについて』著作権に関する案内(2026年9月28日確認)
効果は、確認・修正の時間と総費用まで含めて比べる
福井県庁の事例集には50分、35分程度の削減例がありますが、いずれも個別業務の報告値です。自社の稟議では、その数字をそのまま当てはめず、自社の処理件数と確認時間で測り直しましょう。
自社では、作成時間と確認・修正時間を分けて測る
次は、月100件の返信案を作る架空の例です。掲載企業や県庁の実績、業界平均ではありません。自社で月間の負担を計算するときの考え方を示しています。
| 比較項目 | 従来 | AI利用の仮定 |
|---|---|---|
| 1件の作成 | 10分 | 3分 |
| 1件の確認・修正 | 5分 | 7分 |
| 1件の合計 | 15分 | 10分 |
| 100件の実作業 | 25時間 | 16時間40分 |
下書きだけを比べると、1件あたり7分短くなっています。しかし、確認・修正の時間は2分増えているため、実際の差は1件あたり5分。100件で月8時間20分です。
さらに、初回の資料整理に6時間使ったなら、初月の削減時間は2時間20分になります。2か月目も資料更新や設定変更があれば、その時間を加えてください。初月だけ準備費用を見て終わりにしないことが大切です。
費用は、初期準備と使い続ける費用に分ける
掲載した企業事例だけでは、自社が同じ使い方をする場合の総額は分かりません。対象資料の整理から運用まで、次の項目を自社の記録や見積もりで埋めていきます。
| 区分 | 確認する項目 |
|---|---|
| 初期準備 | 資料整理・権限整理・設定 |
| 外部支援 | 設計・開発・研修・導入作業 |
| 継続支出 | 利用料・追加利用・保守 |
| 社内運用 | 確認・修正・データ更新 |
| 終了時 | データ取出し・利用停止対応 |
初年度なら、初期費用に12か月分の継続費用を加えて比較します。社内工数も金額に換算する場合は、外注費へ含まれる作業と二重に計上しないようにしましょう。
補助金を検討する場合も、先に通常料金で実施できるかを判断します。支給を受けられる前提でなければ成立しない計画にするより、対象を絞って試せる案も並べておく方が安全です。
継続・再試行・中止のどれにするかを決める
試してみて期待ほど速くならなくても、すべてを失敗と考える必要はありません。例えば、古い資料が混ざって回答を直す時間が増えていたなら、原因を取り除いて試し直す余地があります。一方、正しいかどうかを確認できないまま使うことは避けてください。
- 継続・拡大
- 情報管理と確認体制に問題がなく、品質・総工数・費用が事前に決めた条件に合う場合。
- 条件を直して再試行
- 資料の不足や分類の誤りなど、直せる原因が分かっている場合。対象と期間を絞って再確認する。
- 中止・別手段へ変更
- 禁止情報の扱いに問題がある、正誤を判断できない、確認を含む負担が従来を上回る場合。
中止できるよう、従来の定型文や元資料は残しておきましょう。AIの出力だけに置き換えてしまうと、合わなかったときに元の仕事へ戻りにくくなります。
外部に相談する前に、既存機能で足りない工程を整理する
AI活用で行き詰まったときは、先に相談先を決めるのではなく、何が足りないのかを切り分けます。業務の整理だけで済むのか、資料整備が必要なのか、既存機能では足りず連携・開発が必要なのかで、外部へ頼む内容が変わります。
不足している工程だけを相談内容にする
まず、社内で何を決められていないのかを書き出してみましょう。業務の正しい手順は現場の担当者、資料の入力可否は情報管理や契約を確認する責任者など、社内で判断を持つ人も分けておきます。
| 困っていること | 相談で決めたいこと |
|---|---|
| 対象業務が決まらない | 現場担当と作業を整理 |
| 資料が散らばっている | 置き場所・版・権限を整理 |
| 入力できる情報が不明 | 情報管理・契約条件を確認 |
| 既存ツールで足りない | 連携・開発の必要範囲を確認 |
| 続ける価値が分からない | 品質・工数・費用を比較 |
例えば、社内の複数システムから資料を集めなければ検索できないなら、連携方法の設計が相談事項になります。反対に、公開資料を使う返信案が目的なら、既存機能でどこまで対応できるかを先に比べられます。
会社ごとの支援範囲を比較する場合は、福井県のAI導入支援・開発会社の選び方を確認してください。研修、業務整理、開発のどこまで頼むかを決めてから見ると、比較しやすくなります。
見積もり前には、対象業務と試したい範囲を伝える
「AIを導入したい」だけでは、相談相手も必要な作業を絞れません。前章までの試行票を使い、対象にする仕事と、いま困っていることを伝えましょう。
最初の相談で、顧客情報や社外秘の図面まで送る必要はありません。資料の種類や量、現在の困りごとを説明し、実物の確認が必要になった段階で、受け渡し方法と閲覧範囲を決めてください。
定型文や資料整理で足りるなら、開発を頼まなくてよい
毎回同じ問い合わせが数種類だけ届くなら、回答の定型文を整える方が使いやすい場合もあります。AIで文章を作り直すより、承認済みの回答を選ぶ方が速いかもしれません。
それでも質問の条件が多く、担当者が複数の資料を探し直しているなら、その部分にAIを試す理由があります。まず従来の方法と比較し、足りないところだけ支援を依頼する形がおすすめです。
福井県のAI活用事例についてよくある質問
A. 県職員向けの規則なので、自社の完成した規程としてそのまま採用するものではありません。判断項目を参考に自社版を作り、原文や図表の二次利用は県の案内と個別条件を確認してください。
A. 既存機能による小規模な試行は候補になります。ただし、業務の正しい結果を判断する人と、資料・利用環境を承認する人は必要です。担当が決まらない場合は、先に体制を整理しましょう。
A. 名称だけでは判断できません。今回の福井市の案内からも、特定の生成AIモデルを使用しているとは断定していません。使う技術だけでなく、答える質問の範囲も確認してください。
A. 県の優劣ではなく、対象業務、使った資料、導入段階、確認できた成果で比べると自社へ当てはめやすくなります。本記事では、福井の企業による資料活用と、県の利用ルール・事例集を併せて紹介しています。
近い事例を一つ選び、試す業務と確認担当を決める
福井県内の事例を見ると、図面検索、マニュアルの利用、文書の下書き、問い合わせ案内など、AIを試す対象は具体的な仕事に分かれています。自社でも、ツール名から選ぶより「どの作業を軽くしたいか」から考えると、必要な準備が見えてきます。
最初に決めておくこと
- 試す仕事を一つに絞る
- 利用する資料と対象外を決める
- 結果を確認する人を決める
- 従来の作業時間を記録する
- 中止するときの手順を残す
まずはこの記事の試行票を、自社の仕事に置き換えてみましょう。資料と利用環境の承認を得たうえで小さく試し、確認・修正まで含めて負担が減るかを見れば、本格導入するかどうかの判断材料になります。